日本の戦車・上下・2冊/原乙末生/戦後初めて日本戦車の諸型式を系統だててまとめた/本書の目的は日本戦車の過去を明らかにすることである

商品説明
日本の戦車・上下・2冊/原乙末生/戦後初めて日本戦車の諸型式を系統だててまとめた/本書の目的は日本戦車の過去を明らかにすることである

上下・2冊 1961年 159P 137P 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。

戦車は周知のように両度の大戦において重要な役を演じて来たが、今後も防衛のためにますます必要な存在になるものと思われる。戦車はその機構極めて複雑な兵器であって、その開発・生産は容易でなく、世界でもこれを生産する国は数多くないが, わが国はその生産国に数えられた歴史をもっている。

兵器の研究や生産は国防の重要な要素であるが、これは自衛隊だけでなく、ひろく 国民各層の協力がなければ確固たるものにすることはできない。専門家、担当者の研究を深めると同時に、国民各層の認識と協力を得ることそのためには過去の実績と実力とを再認識し、将来への関心を喚起することが必要であって、日本戦車の過去を明らかにしようとする本書の目的はここにある。

本書の構成は、大きく三部に分かたれる。 第一部は原が担当執筆したもので、わが国の戦車の研究開発の沿革を述べ、数多くの主流戦車の目的や性能を説明したテキストである。末尾に世界の戦車を時期的に展望して、武装を中心に、これに関連した性能の変遷と実戦結果の教訓とを解説した。 それによってわが国の戦車の地位を知り、また将来の傾向を察することができると思う。

第二部は竹内昭氏によって集められた第一部のテキストに応じた各戦車の写真・ 図面集で、それに惑切な解説が加えられている。竹内氏は戦車製作に何の関係もなかった青年であるが、趣味をもって戦車の研究をはじめ、現在では専門家以上に戦車を究めている篤志家である。終戦の際散逸して私どもの手もとにもなくなった資料を苦心して収集した努力には敬意を表する。また、その解説をまとめるためには単なる想 像ではなく、設計図まで作って正鵠を期したくらいに苦心をされたことを特記する。

第三部は栄森伝治氏によって、第一部に収められたもの以外の特殊の戦車の数々を紹介したものである。栄森氏は三菱日本重工業株式会社のヴェテラン技師として,戦後の現在も検事の設計を担当している人であるが,自から手がけた苦心の産物を秘蔵の資料によって詳細に解設されているこの稿はまことに貴重なものといわねばならない。

本書「日本の戦車」は以上三部からなる書物であるが、刊行の便を期するために、 上下二巻に分かち、上巻には竹内執筆,原監修の第二部をおさめ、下巻には原執筆の 「戦車発達史」と栄森執筆の「特殊戦車」をおさめることにした。(下巻は上巻発刊後、間もなく世に送り出されるはずである)

本書の刊行によって、かつて私どもが苦心して設計製作したいわゆる努力の結晶が, 埋もれ去ることなく文献として世に出ることは戦車製作担任者として終始した私にと っては大きな喜びであって、共著者たる栄森・竹内両氏ならびに本書を企画刊行さ れた出版協同社藤井編集長に深甚なる謝意を表する次第である

昭和36年7月20日
原乙未生

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